10・08『盗塁』
 ランナーがヒット、刺殺、失策、封殺、野手選択、捕逸、暴投、ボークによらないで、1個の塁を進んだときには、そのランナーに盗塁が記録される。
(a)ランナーがピッチャーの投球に先立って、次塁に向かってスタートを起こしていたときは、たとえその投球が暴投または捕逸となっても、暴投または捕逸と記録しないで盗塁を記録する。
「付記」盗塁を企てたランナーが暴投、捕逸のために余分の塁を進むか、他のランナーが盗塁行為によらないで進塁した場合には、盗塁を企てたランナーに盗塁を記録するとともに、暴投または捕逸もあわせて記録する。
「注1」本盗が企てられたときだけ、3塁ランナーがたとえ暴投または捕逸となった投球前にスタートを起こしていても、その暴投または捕逸の助けをかりなくても得点できたと記録員が判断した場合だけ、そのランナーに盗塁を記録する。
ただし、本塁を得たランナーの進塁に対して暴投または捕逸と記録しても、そのランナーとともに重盗を企てた他のランナーがその投球前にスタートを起こしておれば、そのランナーに盗塁を記録することはもちろんである。
「注2」次の場合、暴投または捕逸があってもランナーが投球に先立って盗塁を企てていれば、そのランナーに盗塁が記録される。
 @バッターへのフォアボール目のとき、バッターのフォアボールによって次塁が与えられなかったランナーが、次塁に進むかあるいはそれ以上に進塁した場合。
 Aバッターの3振目のとき、バッターまたはランナーの進塁に対して、暴投または捕逸が記録された場合。ただし、2死後ランナー1塁、1・2塁、1・2・3塁のときの各ランナーの進塁、及びランナー1・3塁のときの1塁ランナーの進塁に対しては、盗塁は記録されない。
「注3」バッターがキャッチャーまたはその他の野手に妨害されたときに、ランナーが盗塁を企てていたので、7・04(d)が適用されて次塁への進塁を許された場合、そのランナーには盗塁を記録する。
(b)ランナーが盗塁を企てたとき、ピッチャーの投球を受けたキャッチャーが盗塁を防ごうとして悪送球しても、盗塁だけを記録してキャッチャーには失策を記録しない。ただし、盗塁を企てたランナーがその悪送球を利してさらに目的の塁以上に進むか、あるいは、その悪送球に乗じて他のランナーが1個以上の塁を得た場合には、盗塁を企てたランナーに盗塁を記録するとともに、そのキャッチャーにも失策を記録する。
(c)盗塁を企てるか塁を追い出されたランナーが挟撃されて、失策を記録されない守備側の不手際からアウトを免れて次塁に進んだ場合には、そのランナーにも盗塁を記録する。そのプレイ中、他のランナーも進塁した場合には、そのランナーに盗塁が記録される。
 また、盗塁を企てたランナーが挟撃され、失策を記録されない守備側の不手際からアウトを免れて、元の塁に帰ったプレイの間に、他のランナーが進塁した場合、進塁したそのランナーには盗塁を記録する。
(d)重盗、3重盗に際して、あるランナーが奪おうとした塁に達する前か、あるいは塁に触れた後オーバースライドして、野手の送球によってアウトにされたときは、どのランナーにも盗塁は記録されない。
「注」現実にアウトになった場合だけでなく、当然アウトになるはずのランナーが失策によってアウトを免れたと記録員が判断した場合も同様、どのランナーにも盗塁は記録されない。
(e)盗塁を企てたランナーが奪おうとした塁をオーバースライドした後、タッグアウトにされた場合には、その塁に戻ろうとしたか、あるいはさらに次の塁を奪おうとしたかに関係なく、すべてそのランナーには盗塁を記録しない。
(f)野手が好送球を明らかに落としたため、盗塁を企てたランナーがアウトを免れたと記録員が判断した場合には、送球を落とした野手に失策を、送球した野手に捕殺を記録し、ランナーには盗塁を記録しないで盗塁刺を記録する。
(g)ランナーが盗塁を企てた場合、これに対して守備側チームがなんらかの守備行為を示さず、無関心であるときは、そのランナーには盗塁を記録しないで、野手選択による進塁と記録する。
「注」例えば、ランナー1・3塁のとき、1塁ランナーが2塁を奪おうとした場合、キャッチャーが3塁ランナーの本塁への突入を恐れ、送球しなかったときなどには、たとえ守備行為がなくても本項を適用しないで、盗塁を記録する。

『盗塁刺』
(h)次に該当するランナーが、アウトになるか失策によってアウトを免れたと記録員が判断した場合には、そのランナーに盗塁刺を記録する。
 すなわち、
 (1)盗塁を企てたランナー
 (2)塁を追い出されたために次塁へ進もうとしたランナー(もとの塁に戻ろうとした後に次塁へ進もうとしたランナーも含む)
 (3)盗塁を企ててオーバースライドしたランナー
 がそれである。
「付記」キャッチャーが投球をそらしたのを見て走り出したランナーが、アウトになるか失策によってアウトを免れたときは、そのランナーに盗塁刺を記録しない。
 ランナーがオブストラクションによって1個の塁を与えられた場合、そのランナーに盗塁刺を記録しない。
「注1」本項は、前記のランナーが走塁を始めたとき、次塁にランナーがいなかった場合、またはランナーがいてもそのランナーも盗塁を企てていた場合だけに適用される。
「注2」塁を追い出されたランナーが、もとの塁に戻ろうとしてアウトになるか、失策によってアウトを免れた場合には、そのランナーに盗塁刺を記録しない。