10・09『犠牲バント・犠牲フライ』
(a)無死または1死で、バッターのバントで1人または数人のランナーが進塁し、バッターは1塁でアウトになるか、または失策がなければ1塁でアウトになったと思われる場合は、犠牲バントを記録する。
(b)無視または1死で、バントを扱った野手が、次塁でランナーをアウトにしようと試みて、無失策にもかかわらずそのランナーを生かしたときは、次の[例外]の場合を除いて犠牲バントを記録する。
[例外]失策のない守備をもってしても、とうていバッターを1塁でアウトにすることは不可能であると記録員が認めたとき、バントの打球を扱った野手が先行ランナーをアウト(タッグアウト・フォースアウトの区別なく)にしようとして不成功に終わった場合には、バッターには単打を記録して、犠牲バントとは記録しない。
「注」バントを扱った野手が直ちにバッターランナーに向かわないで、わずかに他のランナーをうかがったり、または他の塁へ送球するふりをした(実際には送球せず)ために送球が遅れて、バッターを1塁に生かした場合には、バッターに単打を記録して犠牲バントとは記録しない。
(c)バッターのバントの打球で次塁へ進もうとするランナーのうち1人でもアウト(フォースアウト、タッグアウトの区別なく)にされたときには、バッターに打数を記録するだけで、犠牲バントとは記録しない。
「注1」例えば、バントで2進した1塁ランナーが2塁をオーバーランまたはオーバースライドして野手にタッグされてアウトになった場合には、バッターがランナーを安全に次塁に送っているにもかかわらず、ランナー自身の失敗でアウトになったもので、バッターはその責任を果たしているから犠牲バントを記録する。
「注2」ランナーがアウトになった場合だけでなく、当然アウトになるはずのときに、野手が悪送球、落球、ファンブルなどのミスプレイによってランナーを生かした場合も同様、犠牲バントとは記録しないで、その野手に失策を記録する。しかし、このようなミスプレイがあった場合には、そのミスプレイがなくてもランナーが進塁することができたかどうかを判断して、ミスプレイがなくても進塁することができたと判断した場合には犠牲バントを記録し、また、このミスプレイでそのランナーが余分の塁を得た場合には、失策もあわせて記録しなければならない。
(d)バッターがバントをしたとき、1人または数人のランナーを進めるためでなく、ヒットを得るためであったことが明らかであったと記録員が判断したときには、バッターには犠牲バントを記録しないで、打数を記録する。
「付記」本項の適用に当たって疑義のあるときには、常にバッターに有利に扱う。
(e)犠牲フライの記録。
 無死または1死でバッターが飛球またはライナーを打って、外野手または外野の方まで廻り込んだ内野手が、
 (1)捕球した後、ランナーが得点した場合。
 (2)捕球し損じたときにランナーが得点した場合で、仮にその打球が捕らえられていても捕球後ランナーは得点できたと記録員が判断した場合。
 には、犠牲フライを記録する。
「付記」捕球されなかったのでバッターがランナーとなったために、野手が他のランナーをフォースアウトにした場合も、本項(2)にあたるときは、犠牲フライを記録する。
「注1」ファウル飛球の場合も、(1)にあたるときには、犠牲フライと記録する。
「注2」例えば、1死ランナー1・3塁で、バッターがライトフライを打ち上げたので、2ランナーはともに自己の塁にタッグアップしていたとき、ライトはこのフライを捕球し損じた。3塁ランナーはやすやすと得点したが、ライトは直ちに2塁へ送球して、1塁ランナーをフォースアウトにした。この場合、3塁ランナーがライトの落球または2塁でのフォースアウトを利して(フライアウトを利したのではない)得点したと記録員が判断した場合には、バッターに犠牲フライを記録しない。これに反して、3塁ランナーはたとえこのフライが捕らえられても、捕球後得点できた(フォースアウトまたは落球を利したのではない)と記録員が判断した場合には、バッターには犠牲フライを記録する。